家族で知るデジタルデバイスの健康リスク:子供の目と体のために、今日からできること
デジタルデバイスは便利だけれど…家族で知る健康リスクとは
スマートフォンやタブレット、パソコンなど、デジタルデバイスは私たちの生活に欠かせないものとなりました。情報収集、学習、コミュニケーション、エンターテイメントと、その利便性は計り知れません。しかし、これらのデバイスを長時間、あるいは不適切な方法で使用し続けることで、私たち自身や、特に成長期にあるお子様の健康に様々なリスクをもたらす可能性があることをご存存じでしょうか。
このページでは、デジタルデバイスが家族にもたらす健康リスクについて理解を深め、共に予防に取り組むための具体的なヒントをご紹介いたします。
1. デジタルデバイスがもたらす主な健康リスク
デジタルデバイスの長時間使用は、目だけでなく、身体や心にも影響を及ぼすことがあります。
目の健康への影響
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近視の進行とデジタル眼精疲労(VDT症候群) 画面を長時間見続けることは、目のピントを合わせる筋肉(毛様体筋)に大きな負担をかけます。特に、画面から近い距離で小さな文字や画像を凝視することで、この筋肉が緊張し続け、疲労が蓄積します。これは「デジタル眼精疲労」や「VDT(Visual Display Terminals)症候群」と呼ばれ、目の奥の痛み、かすみ目、ドライアイ、頭痛などの症状を引き起こします。 お子様の場合、目の成長期にこのような負担が続くことで、近視が進行しやすくなることが指摘されています。一度進行した近視は元に戻らないため、早期からの予防が非常に重要です。
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ブルーライトの影響 デジタルデバイスの画面から発せられる「ブルーライト」は、可視光線の中で最も波長が短く、エネルギーが強い光です。日中に浴びることで覚醒効果がある一方で、夜間に浴びすぎると、睡眠を促すホルモンであるメラトニンの分泌を抑制し、寝つきが悪くなる、眠りが浅くなるといった睡眠の質の低下につながることがあります。
身体の健康への影響
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姿勢の悪化 スマートフォンやタブレットを見るとき、多くの方が首を前に突き出し、背中を丸めるような姿勢になりがちです。このような姿勢が続くことで、首や肩、背中の筋肉に過度な負担がかかり、「ストレートネック」と呼ばれる状態や、肩こり、腰痛の原因となることがあります。お子様の成長期における骨格形成にも影響を及ぼす可能性も考えられます。
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運動不足 デジタルデバイスでの活動は、基本的に座ったまま、あるいは寝転がったままで行われることが多く、体を動かす機会が減少します。これにより運動不足が常態化し、肥満や生活習慣病のリスクを高めることにもつながります。
心身の健康への影響
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睡眠の質の低下 上述のブルーライトの影響に加え、寝る直前までデバイスを使用していると、脳が興奮状態になり、なかなか寝付けなくなることがあります。十分な睡眠が取れないと、日中の集中力や学習能力の低下、イライラしやすくなるなど、心身のバランスを崩す原因となります。
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集中力の低下と情報過多 常に新しい情報が更新されるデジタルデバイスは、注意散漫になりやすく、一つのことに集中する力を養う機会を奪ってしまうことがあります。また、過剰な情報に触れ続けることは、脳を疲れさせ、ストレスの一因となることも考えられます。
2. 家族で取り組む予防策と具体的なアイデア
これらのリスクを軽減し、デジタルデバイスと賢く付き合っていくためには、家族みんなで意識し、行動を変えていくことが大切です。
(1) 家族で「デジタルデバイスのルール」を決めましょう
まずは、家族で話し合い、デジタルデバイスの適切な利用時間や使い方に関するルールを設けることから始めましょう。
- スクリーンタイムの目安設定:
- お子様の年齢に応じて、1日あたりの使用時間を決めます。例えば、「平日は〇時間まで」「休日は〇時間まで」といった具体的な時間設定が良いでしょう。
- 世界保健機関(WHO)では、5歳未満の乳幼児に対しては「1日1時間未満」を推奨しています。
- 休憩時間の確保:
- 「20-20-20ルール」を実践しましょう。これは、20分間デバイスを使用したら、20秒間、20フィート(約6メートル)離れたものを見ることで目を休めるという方法です。家族でタイマーを設定して、一緒に休憩を取り入れるのも良いでしょう。
- 使用する場所と時間の制限:
- 食事中や寝室では使用しない、就寝の1時間前からは使用を控える、といったルールは、家族のコミュニケーションを促し、良質な睡眠を確保するために役立ちます。
(2) デバイス利用環境を見直しましょう
適切な利用環境を整えることも、リスク軽減に繋がります。
- 適切な距離と姿勢:
- 画面から40cm以上離れて見ることを意識しましょう。座って使う場合は、画面の上端が目の高さよりやや下になるように調整し、背筋を伸ばして、足の裏が床にしっかりつく姿勢を保ちます。
- お子様の場合、大人用の椅子や机では姿勢が悪くなりがちですので、専用の高さ調整可能な椅子や机を検討するのも良いでしょう。
- 画面の明るさと照明:
- 周囲の明るさに合わせて画面の明るさを調整し、暗すぎる部屋での使用は避けましょう。画面に直接光が当たらないよう、照明の位置も工夫します。
- ブルーライト対策:
- ブルーライトカット機能のあるメガネやフィルムの使用、デバイスの設定でブルーライト軽減モードを活用するのも一つの方法です。
(3) デジタルデバイスに代わる活動を増やしましょう
家族で一緒に楽しめる、デバイスを使わない活動を積極的に取り入れましょう。
- 外遊びや運動:
- 公園で遊ぶ、散歩に出かける、自転車に乗るなど、外で体を動かす時間を意識的に増やしましょう。屋外で遠くの景色を見ることは、目のピント調節機能をリラックスさせる効果も期待できます。
- 読書やボードゲーム:
- 紙媒体の本を読む、家族でボードゲームやカードゲームを楽しむ、といった活動は、集中力を養い、コミュニケーションを深める良い機会です。
- 家族での会話や共同作業:
- 食事の準備や片付け、家の手伝いなどを家族みんなで行う、今日の出来事を話し合う時間を持つなど、家族の絆を深める時間を大切にしましょう。
(4) 親御さんが良いモデルになりましょう
お子様は親御さんの行動をよく見ています。親御さん自身がデジタルデバイスとの付き合い方を見直すことも重要です。
- お子様の前での過度なデバイス使用は控える。
- 家族との会話中にスマートフォンを操作しない。
- 決めたルールは親も守る。
このような姿勢を示すことで、お子様も自然と良い習慣を身につけていくことができるでしょう。
3. まとめ:家族の健康は、みんなで守るもの
デジタルデバイスは私たちの生活を豊かにするツールですが、その使い方次第で健康に大きな影響を及ぼす可能性があります。特に、成長期のお子様の体はデリケートであり、将来の健康を見据えた適切な利用が求められます。
「家族で知る健康リスク」は、家族みんなで健康について考え、具体的な行動に移すきっかけを提供したいと考えています。今日ご紹介したヒントを参考に、ぜひご家庭でデジタルデバイスとの付き合い方について話し合い、より健やかで豊かな家族の未来を築いていかれてください。